コーチングと学校教育
主体的な学びが重視されるようになってから,一斉授業を基本とした先生が子どもに知識や技能を教える「ティーチング(teaching)」から「コーチング(coaching)」の考え方へ変化してきました。
また,先生にはファシリテーターとしての役割が求められる機会も増えています。とは言え,まだまだ学校では一斉授業をやっています。自由進度学習などを取り入れながら,子どもたちが主体的に学ぶ場を設定しよういう流れもありますが部分的であるというのが現状です。
一斉授業とコーチングとファシリテーション
一斉授業からの脱却は喫緊の課題です。子どもたちの主体的な学びの実現は,一斉授業では難しいことは間違いありませんし,そう思っている教員は多いはずです。しかし,なかなかそれが進みません。その理由は,学校教育が持つ独特の保守的な文化や仕組みと,それを当たり前として受け入れてしまう思考停止の大人にあります。
保守的な文化と仕組み
日本の小学校では「学級担任制」という伝統的な仕組みが長年採用されています。一人の教師が一つのクラスを担当します。
しかし,社会が急速に変化し,教育に対するニーズも多様化している現代において,このシステムがほとんど変わっていないというのは,非常に深刻な問題です。私たちが子どもの頃から,基本的な構造がほぼ同じであるということは,よく考えるとおかしいことに気が付きます。
一斉授業方式から脱却できない理由の一つとして,学校側や教員にとって現行システムが一定の利点を持っているという点が挙げられます。
「利点がある」という表現だけを聞くと、学校や教員が変革を怠っているように聞こえるかもしれませんが,それほど単純な問題ではありません。様々な要因や課題が複雑に絡み合っています。
例えばコーチングは,個人にアプローチしますが,学校教育ではクラス30〜40人の児童生徒が同時に存在します。子どもや保護者の価値観の多様化と膨大に積み上げられたカリキュラムの中で教師の負担を考えると,とてもではありませんが満足に実施することはほぼ不可能です。
もちろん,部分的にコーチングの要素を取り込んで指導を行うことは可能でしょう。
しかし,時間的な制約を考えると効果的であるとわかっていても,踏み出すことへのハードルは高いです。新しい視点を取り込んで変化をし続けようとする熱心な先生は,重要な校務に関する業務が割り振られていたり,特別に配慮が必要な児童生徒を受け持ったりしているからです。
限られた時間の中で,失敗しないためには一斉授業を行い,子どもたちの管理して評価していくことが正解になってしまう仕組みになっているのです。
ファシリテーションはどうでしょうか?
中立的な立場を保ちながら,子どもたちの意見を拾いつつ,目標達成やコミュニケーションの促進を図ることが求められます。
私自身も,自らがファシリテーターとして参加しながら学級での話し合いや「てつがく対話」を実践してきました。その経験も踏まえ,これもコーチングと同様でかなりハードルが高いと言えます。
なぜなら信頼と前提をしっかりと作ることが,
めちゃくちゃ大変だからです。(というか,これが全て)
(ラポールの形成ですね・・ちなみに,ラポールとはフランス語で架け橋)
ファシリテーションのあれこれを考える前に,子どもたちが
「みんなで対話をして,もっと考えを深めよう」というマインドになってないと,そもそもファシリテーションができません。
特に,小学校だと話を最後まで聞けない,そもそも退屈で他のことがしたい,自分の意見をもっとたくさん言いたい・・・などなど,子どもが30人以いるわけですから,学級で真剣に対話をすることがまず至難の技なのです。
さらに,そこにファシリテートに関する知識やスキルが必要になる・・・,
一方で,子どものやりたい‼️やってみたい‼️も超大事🤣
「・・・・もう全部,一斉授業や全体指導でええやん・・・・」
頭の中で,こんな言葉が過ってもなんら不思議なことではありません。
大人の思考停止
学校の先生にとって,負担の大きい業務に保護者対応があります。
学校の授業が難しくてわからないと言っているから,
わかりやすい授業をして欲しい‼️
個別で教えて欲しい‼️
・・・学校にこのような要望を伝えてくる保護者もいます。他にも,
宿題が少ないからもっとたくさん出してほしい‼️
宿題を全くやらないのでもっと厳しく叱ってほしい‼️
というのも実際に聞いたことがあります。
全員がそうだとは言い切れませんが,親が熱心でそのような要望をしている子どもほど,授業にあまり興味がなかったり,いろんなことに消極的だったりすることはめずらしくありません。
学校が託児所化している
大人の事情で,社会が子どもの事を学校に任せすぎています。
夏休み短縮が報道されれば,親の負担が増えるとか,
朝7時から学校を開放する要望とそれをやってしまう学校もある実情とか,部活動がなくなったり縮小されたりすると,子どもがスポーツをする場所がないとか,
報道を目にする度に,まず変わるべきは大人の方であるという事を認識させられます。
ですがですが‼️
それは大人の生き方にゆとりがないことから生まれています。
忙しすぎ,というよりは働きすぎで,自分の子どもゆっくり向き合う時間が取れない。(投票率が低いことにもつながりそう)
だから学校に行ってくれていれば楽なんです。
日本の学校教育が変わるためには,やはりこの辺りがからの大人マインドチェンジが必要です🤔